停電未経験者や不便を感じるほど長い時間停電を経験した事のない方は、いざ大規模停電が起きた時にどのような不便さを想像するだろうか？
　
　まずしばらくの間、冷蔵庫が使えないことは容易に想像がつくだろう。最近は業務用スーパーや大量購入による冷凍食品のストックが多い。家電量販店では冷凍専用庫も売れているようだ。その冷凍食品が融け始めるので、金額損失も大きいがショックも大きいし、片付けも大変だ。また、真夏・真冬に冷暖房が使えないのは命の危機にもつながりかねない。人だけではなく小型犬・猫・熱帯魚とペットにも危険が及ぶ。照明器具が使えないから、転倒や衝突の危険が高まる。さらに最新トイレは電気で水を流すから手動切り替えを知らないと大慌てだ。
　続いて、食材を購入しようとコンビニに行っても電子決済ができず、現金で支払おうとしたらお釣りが不足して販売してもらえないということもあり得る。ガソリンも震災対応型以外のスタンドでは給油ができず、交差点の信号は無灯火であるから危険極まりない。また、警備システムや防犯カメラの設置で安心していても、停電時に作動していなければかえってそれらが窃盗犯の目印になってしまいかねない。やや大袈裟だが、スマホもバッテリーが切れれば無用の長物になり愛着が一気に憎悪に変わるかもしれない。スケジュール管理や連絡先もスマホなので、一気に何も出来なくなる可能性がある。大事な方と連絡がつけたいがつけられないのは不安でしかない。ゲームもできないのでストレス発散ができない。

　考えれば考えるほど私達は電気に依存した暮らしをしていることがわかるだろう。停電は不便な上に不安も募り、体調だけでなくメンタル不調もきたす。停電が長期に及ぶとまさにサバイバルになりそうだ。アウトドアを楽しむ方が多くなっているが、これがまさにリアルなサバイバルである。
　我が家の防災訓練においては、万が一の時に備えて一度電気の無い暮らしを経験することをお勧めする。家の中で電気を使わないキャンプをしてみてはどうか。停電時に困るものがはっきり見えてきて、何を準備したらいいかわかるはずだ。準備しているつもりが残念なことにならないようにしていきたいものだ。